Q.平成23年8月に準確定申告をしたのですが、平成21年〜 23年の被相続人の確定申告が間違っており、平成23年分の所得分も含めて修正申告をして、各年分の本税・付帯税の納付を行いました。この税金は相続税ではどのように取り扱われますか。
A.1年前・2年前の確定申告の修正申告による本税・付帯税、および準確定申告による本税は債務控除の対象となりますが、準確定申告に関わる附帯税は債務控除の対象とはなりません。
(1)債務控除・葬式費用
相続税は相続などにより受けた利益に課税されるものですので、相続人等が被相続人の債務・葬式費用を負担するときは、相続財産の価格から控除して相続税の課税価格を計算することとしています。
債務控除の対象となるものには、被相続人の公租公課のうち死亡の際確定しているものと死亡後に相続人等が納付・徴収されたもの、相続人が負担する被相続人の借入金・未払金等で相続開始時に存在し確実と認められるもの、保証債務・連帯債務のうち一定の条件を満たしたもの、があります。
葬式費用も相続財産の価格から控除されますが、通常、葬式費用として認められるのは、①死体の捜索費又は死体や遺骨の運搬費、②遺体や遺骨の回送費、③火葬・埋葬・納骨をするためにかかった費用、④葬式などの前後に生じた出費で、お通夜にかかる費用など通常葬式などにかかせない費用、⑤葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用が挙げられます。
(2)債務控除の対象とならない公租公課
質問の状況における税金は公租公課にあたるものですが、公租公課は相続人及び包括受遺者の責に帰すべき事由により納付し、又は徴収されることとなった延滞税、利子税及び各種の加算税に相当する税額は含まれません。
納付した税金は、平成21年・22年の所得税の本税及びそれに対する附帯税と、平成23年の所得税の本税と附帯税です。平成21年・22年の所得税の本税及びそれに対する附帯税は、本来当初の申告時に被相続人が正しく申告をするか、相続開始前に被相続人が修正申告を行い納付すべきものなので、これは被相続人の責に帰すべき事由になります。また、平成23年の準確定申告に関わる本税も、被相続人が負担すべき税金になりますので、債務控除の対象となります。
しかし、平成23年の準確定申告に関わる附帯税については、相続人及び包括受遺者が正しく申告を行うことで免れることができたはずのものとなりますので、相続人及び包括受遺者の責に帰すべき事由があるとして、債務控除の対象とはなりません。
平成21年・22年 | 平成23年(準確定申告) | |
---|---|---|
本税 | ○(被相続人の責) | ○(被相続人の責) |
附帯税 | ○(被相続人の責) × | ×(相続人及び包括受遺者の責) |
(3)その他債務控除の対象とならないもの
(1)に記載した債務控除の対象になるものにも、ある条件の場合にはその対象とならない場合があります。
たとえば、墓所や霊びょう等に関する債務は非課税財産に関する債務として債務控除の対象とはなりません。また、相続放棄をした者が債務を負担する場合、放棄したものは当初から相続人ではないとみなされますので、債務控除の対象とはなりません。ただし、葬式費用は相続放棄した場合でも控除できます。
また、葬式にかかるものではないので初七日法要費用・四十九日費用等の法会に要する費用なども控除の対象にはなりません。香典返しは、香典が相続財産とされないことにより、控除の対象とはなりません。
さらに、特例納税義務者及び制限納税義務者においては、債務控除は取得した財産に係る債務のみが控除でき、葬式費用は控除
できません。