Q.相続が発生したらどのような流れで申告・納税まで進んでいくのでしょうか。
A.財産・債務の把握とこれの承認または放棄をし、被相続人の所得税の申告を行い、さらに遺産の分割を経て、相続税の申告・納税を行います。
相続発生後に必要な手続きを、説明します。
被相続人の死亡
(相続発生)
- 死亡届を7日以内に死亡診断書または死亡検案書を添付して、区役所等へ提出します。
- 社会保険(国民健康保険後期高齢者医療保険厚生年金国民年金)の手続きが必要となります。
- 遺言書があれば家庭裁判所で検認を受け、その後開封します。(公正証書遺言、保管所に保管された自筆証書遺言は不要)
通夜・葬儀
- 死因贈与契約書の有無を確認します。
- 相続人の確認をします(被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本をとります)。相続人に未成年者がいる場合には、家庭裁判所に特別代理人の申請をします。
四十九日法要
- 財産と債務の概要を把握し、相続するか、限定承認するか、または放棄するかを決めます。
* 相続が発生したからといって必ず相続しなければならないものではありません。債務額が財産額を上回っているような場合には、相続の放棄又は限定承認の旨を家庭裁判所に申述をすることもできます。なお、相続開始後3 ヶ月以内に放棄又は限定承認をしない場合は単純承認となります。
相続放棄、限定承認
(相続開始から3ヶ月以内)
- 被相続人に確定申告義務がある場合には、相続人が被相続人の死亡の年の1月1日から死亡日までの確定申告をします。これを準確定申告といいます。なお、1月1日から3月15日の間に亡くなった場合の前年の確定申告書も準確定申告と同様、申告書の提出期限は共に、亡くなった日から4 ヶ月以内となっています。
所得税、消費税の準確定申告と納付
(相続開始後4ヶ月以内)
- 相続人の青色申告承認申請書の提出をします。期限は、死亡日が1月1日から8月31日の場合は死亡日から4 ヶ月以内、9月1日から10月31日の場合は、12月31日、11月1日から12月31日の場合は、翌年の2月15日となっています。
- 相続人の消費税の届出書を提出します(原則として死亡の年内) 。
財産・債務を決定し、評価額を決定する。
- 遺言が相続人の遺留分を侵害しているときは、遺留分の侵害額請求ができます(相続開始後1年以内) 。
- 遺言書のとおりに相続する場合は、財産の名義変更手続きに移ります。
- 納税資金計画の検討をします。具体的には、物納、延納、土地売却による納税が必要かどうかを検討します。
- 農家の場合は、農業を承継する相続人を検討します。
相続の計算
申告書の作成
遺産分割協議書の作成
- 遺産分割協議書の作成は、法律等で義務づけられているものではありませんが、不動産の相続登記をする場合の添付資料として必要になりますし、相続税の申告書にもその写しを添付しますので、遺言書がある場合を除き、必ず遺産分割協議書を作成することになります。
納税資金の準備
- 遺産分割が終わらないときは、法定相続分で相続したものとして申告します(ただし、未分割の場合、原則として配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例、農地の納税猶予の特例は受けられません) 。
* 未分割の場合、当初の相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておき、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができます。この場合、分割が行われた日の翌日から4カ月以内に「更生の請求」を行うことができます。
相続税の申告と納付
(相続開始後10ヶ月以内)
- 納税資金の準備、延納、物納、土地売却等の確定をします。
- 被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に申告、納税をします。
- 延納や物納の申請をする場合は申告と同時に行います。
遺産の名義変更手続き
- 不動産の相続登記や預貯金、有価証券等の名義書換を行います。