Q.被相続人の賃貸アパートの土地と建物を相続する場合、何か特例はありますか?
A.被相続人の貸付事業に使われていた部分に限り、小規模宅地等の特例により面積200㎡まで50%減額できます。
(1)小規模宅地等(貸付事業用)
①概要
貸付事業の用に供している宅地等を相続した場合、一定の面積(小規模宅地等)については、通常の方法で評価した価額から次に掲げる面積について以下の減額割合を乗じて計算した金額を評価減として控除できます。
貸付事業用宅地等 200㎡まで 50%
②貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次のイ又はロに掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(その宅地等のうちイ又はロに掲げる要件に該当する親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限ります)をいいます。
イ、被相続人の貸付事業に使われていた宅地等を取得した被相続人の親族が、相続開始時から申告期限までの間にその宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その貸付事業に使用していること。
ロ、被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業に使われていた宅地等をその親族が取得した場合であって、その親族が相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の貸付事業に使用していること。
③貸付事業の範囲
貸付事業とは不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業のことです。
よって、管理人も置いて、時間貸し駐車場を事業的規模で行っており、所得税法上事業所得として課税されているような場合であっても、その宅地は特定事業用宅地等には該当せず、貸付事業用宅地等に該当します。
また、準事業とは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。
よって、貸付けに対する受取賃料の価額が低く、不動産所得が赤字となるような場合であっても、その価額が第三者間との取引の結果として合理的と認められるような価額であれば、貸付事業用宅地等に該当します。
④土地が複数ある場合
複数の宅地を適用する場合には面積の調整が行われます。
A+B×5/3+C×2≦400㎡
A 、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等に該当する部分の合計面積
B 、特定居住用宅地等に該当する部分の合計面積
C 、貸付事業用宅地等に該当する部分の合計面積
(2)適用要件
相続税の申告書に、この特例の適用を受ける旨の記載および、計算に関する明細書その他一定の書類を添付がある場合に限り適用されます。
なお、この特例は、相続税の申告期限までに相続人等によって分割されていない宅地等には適用されません。ただし、申告期限までに分割されていない宅地等が、次のいずれかに該当することになったときは、適用することとなっています。
①申告期限後3年以内に分割された場合
②期限後3年以内に分割できないことについてやむを得ない事情があり、所轄税務署長の承認を受けた場合、分割できることとなった日として定められた一定の日から4 ヶ月以内に分割されたとき