こんな時のために【遺言】があれば…パート3
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皆さんこんにちは、税理士の山口です。こんな遺言があったらいいの第3弾です。事例の1つ目が単身者の財産は国庫へというテーマです。独身の方で兄弟もいなくて、相続人がいないと言った場合、自分に万が一が起こった場合には国にいってしまうということです。
単身者ですので、相続人がいないということです。私も一回だけそういった案件に立ち会ったことがあります。その時には、弁護士さんにお願いして不在者財産管理人という形で弁護士さんに入ってもらい、近くに住んでいた方が亡くなった方の面倒を見ていましたので、多少分配を受けるという形の話がありました。けれども遺言がないとほとんど分配もらえないというのが実情だと思います。こんな時に遺言があったらということで、単身者の方でも遺言があればこんなことができるという1つのパターンは寄付をするということですね。地方公共団体、例えば自分が住んでいるところを希望するとか、あと学校に寄付をすると、今みたいな形で近所でお世話になっている方に財産をのこした。そういったことが可能になるということになります。何もしなければ大半が国にいってしまいますので、せっかく自分で残した財産ですから、せめて自分で決めておいた方が浮かばれるんじゃないかということです。
自分の財産が国に入ったとしてもですね。どのように使われるかはわかりません。自分で自由に寄付をするなり、誰かに遺すことができますよということで、そんなにたくさん例はないかもしれませんが、単身者の方はぜひご注意いただければというふうに思います。
事例の2つ目は、遺留分侵害額の請求が来て納税がピンチということです。これは平成31年の民法改正で遺留分侵害請求が遺留分侵害額請求という形で、遺留分についてはお金でやりとりしましょうというふうに民法が変わりました。トラブルの内容なんですけども、一人に全てという内容であるという遺言によって、遺留分侵害額請求が来たということです。
財産としては全体で6億ということですので、遺留分が4分の1あります。BさんがAさんに対して遺留分侵害額請求をしてきた。それが1億5,000万ということでございます。AはBに対して現金で1億5,000万円支払ったということなんです。
ポイントはですね、今財産6億という話をしたんですが、預金が2億しかないということです。6億に対する税金ってだいたい2億になりますで、そのうち1億5,000万払いますと大体1億5,000万が相続税ということになります。
それから遺留分侵害額請求のお金を払うのが大変ということです。仮に、不動産でもって遺留分侵害額に充てた場合には、不動産で返したという形になりますので、お金に変えたわけじゃないんですけれども、売ったとみなして譲渡税が長期の場合には2割かかります。踏んだり蹴ったりみたいな形になってしまうということでございます。そこで遺留分を侵害しないような遺言をつくることが理想的な話かなと思います。
今回1億5000万円という話ですので、不動産1億円と預金5,000万。これで遺留分相当になりますので、そうするともらった方も税金払えるでしょうし渡した方も、税金を払えるということになりますので、お互いにメリットがあります。どうしてこういう風に長男に少し多く残したのかということの付言事項を書いておきましょうということでです。
なんでこんなに大変だったのかと言いますと、やっぱり民法が変わった関係で遺留分侵害額請求については現金で払ってくださいということで、相続税とそれから遺留分の支払いでかなり苦労してしまったというのが、この事例のポイントかなというふうに思います。
いかがでしたでしょうか遺留分。私も今やっている案件でも議論になることがありまして、結構苦労しますね。なかなかこういうトラブルは。なかなか解決できないということがあります。せめて遺言を作る段階からきちんとしておくと、のちのちのトラブルを防ぐことにもなりますので、ぜひ検討いただければと思います。