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第3章 民法と税の接点

遺言書と異なる分割をした場合

Q.
遺言書と異なる分割をした場合、 贈与税等の課税関係が発生しますか?
A.
遺言に従って分割するのが原則ですが、相続人及び受遺者がその遺言を放棄し、全員の同意により分割する訳ですから、贈与税等の課税関係はないと考えられます。

(1) 民法上の取扱い

 相続財産には権利だけでなく義務も含まれるので、遺言の自由が原則となると同時に、相続を拒否する自由も認められる必要があり、民法では遺言を放棄することが認められています(民法986条一)。  遺言と異なった遺産分割をした場合、相続人及び受遺者が一旦包括遺贈の放棄をし、その財産を未分割状態に戻した上で分割協議をしたものと考えられます。  民法上、相続人は、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に放棄の手続き(家庭裁判所に申述)をしなければなりません(民法915条二)が、包括受遺者についてもこの規定が準用されます(コンメンタールp6053 包括遺贈)。

(2) 実務上の取扱い

 実務上は、遺言書とは異なる内容で分割したいという事例はかなり多いようです。また、民法上は、上記のように放棄の手続きをとらなければなりませんが、実務上は事実上の放棄という点に着目して、上記のような放棄の手続きを要しません。遺言書の内容がどのようなものであっても、相続人及び受遺者全員の同意により分割する訳ですから、その遺産分割は有効に成立し、贈与税の問題は起こらないと考えられます。

(3) 受遺者に相続人以外の者がいた場合

 受遺者に相続人以外の人がいた場合に、その相続人以外の人を 加えて分割した場合はどうでしょう。  これは、それは相続人が一旦財産を取得して、その中から相続 人以外の人へ贈与したこととなり、贈与税が課税されることにな ります。遺言と異なる割合、手法により法定相続人以外の者に財 産を配分するときは気をつけなければなりません。

(4) 遺言執行者がいる場合

 遺産執行者は相続財産の管理その他遺言の執行について必要な一切の行為をする権利・義務を有する(民法1012条、1013条)ので、遺言執行者の同意がない場合は遺言と異なる分割はできないこととなります。このような事態を避けるために、遺言執行者は原則相続人とするのがよいでしょう。 どうすれば